吉田拓郎の2年ぶりとなる「LIVE 2014」が22日、ついに千秋楽を迎えた。プラチナチケットを手に入れ参加したファン、さらには全箇所制覇した拓バカの喪失感は計り知れず、ペットロスならぬ「拓ロス症候群」に陥る人が続出するとの懸念も広まる。「たかが吉田拓郎で」とあなどってはいけない。置かれた環境によっては情緒不安定、無気力、不眠などの症状が出る危険もあるだけに注意が必要だ。
軽快なMC、拓郎を取り巻く小田、谷村とのエピソード…。心がホンワカする全抱きとも今日でサヨナラだ。
最終回の舞台は、北は埼玉川口、南は神奈川横浜の真ん中あたり東京国際フォーラム。ポンからの復活ライブなど数々の感動を与えてくれた場所。拓郎もMCで「ここ好きだな〜」と語った。
そして、
「来年も…もう一箇所ぐらい増やして…。」
そんな拓郎の気持ちも含まれているのか、まだ足りないまだ足りない…、おなじみの純情でフィナーレを迎えた。
6月のフォーラム以降、ライブ参戦してきた50代の独身男性が語る。
「今まで平日、それも週頭に休みを取るのに苦労する毎日でした。だから、これから月曜日に残業してる時にふと現実に気付くのでしょうね、きっと…」
観客は拓郎世代だけでなく、子や孫の代もチラホラと見られたが、「せっかく連れてきた息子(小学1年生)は途中で寝てました」(50代の会社員)との声もある。
それだけに、次世代の拓バカを失ってしまうのが、これからの課題だ。
インターネット上などでは、ペットロス症候群に似た「拓ロス」の発症がライブ終了後に続出するという説が流れている。ペットロスは飼っていた犬や猫との死別、あるいは行方不明になることで精神的ショックを受け、情緒不安定や無気力、不眠といった鬱病につながる状態に陥るものだ。
果たして、ライブの終了が体調を悪化させることはあり得るのか。精神科医の小谷氏(メンタルヘルス)は、「吉田拓郎」が持つ特異性に着目。喪失感が体調不良を引き起こす危険性を指摘する。
「吉田拓郎の生き方や歌の世界を自分に重ねるうちに、自分が吉田拓郎であると錯覚してしまうのです。まさに“拓バカ”といえるでしょう。特に『LIVE 2014』はたった5回しかライブをしないにも関わらず、生活の一部に溶け込んでいましたから、その傾向は強いと思います。」
最近では、坂崎幸之助とのオールナイトニッポンGOLDが好評だったが、放送終了による喪失感は問題視されなかっただけに、「LIVE2014」の圧倒的な人気が際立つ。
週明けにはいよいよ、ライブのない月曜日に直面する。心の隙間はどのように埋めたらよいのか。無理に忘れようとするのは、かえってよくないという。
「ペットロスには、死んでしまったペットの写真や映像をあえて見るようにして、悲しみを無理に抑えないようにする対処法があります。『曝露(ばくろ)療法』と呼ばれるものの一種です。同じように、『拓ロス』でも録画したDVDがあれば、繰り返し見るのも1つの方法。ファン同士で思い出を語り合うのもよいでしょう」(小谷氏)
それでも気持ちが上向かない場合は、どうすればよいのか。
「ペットの死だけでなく、家族の死、失恋などは、その後1カ月の間に気分が落ち着くもの。1カ月過ぎても沈んだままなら、WOWOWの申し込みを考えてみていいかもしれません。9月になっても『おかしいな』と感じるようなら、電器屋さんに相談してみてはいかがでしょうか」(同)
ペットロスでは1カ月以上、不調が続くようなら受診を検討した方がよいとされる。医学の助けが必要なほど「拓ロス症候群」が深刻化するか否か。その答えは9月のWOWOW契約者数の増加で分かりそうだ。